【映画評】「17歳の瞳に映る世界」-絶望を適切に描き切るという希望-

違和感のある評 渋谷で一回目の視聴を終えて、あらゆる角度からの暴力を粘り強く丁寧に描ききった傑作だと思った。幕が下りたあと、画面全体に漂っていた濃厚なブルーのイメージと相まって、抵抗できない暴力にさらされた後に訪れる様な、諦めも混じった静か…

原因不明に発生する不可思議な選択に対する応答

我々には酸素を含んだ空気が必要であるということができる。必要だと〈言うこと〉が難しいということはもう何度も言われてきた。必要だと言ったとしても酸素を含んだ空気が馴染んで肺に飛び込んでくれるかは、空気次第だと、あるとき気づいて今はそれがパワ…

M君の死を悼んで

M君の死を悼んで この、るうぶるでは、価値のある作品を、次々に引き裂いていきます。価値のあるもの程、後世などには残さず、粉々の破片にして、それが伝統でございます。 展示室と展示室の間では、右足と右足、左足と左足、を同時に突き出し、リズム正しく…

寝転んでは祈る

寝転んでは祈る ズボンのポケットに確かな振動を感じて、彼はパソコンでの作業を中断した。スマホに手を伸ばしながら、他のLINEの通知は切ってあるから、この知らせが来たということは、間違いなく彼が期待しているメッセージを受けたのだということを考える…